婚活

「結婚しない女」「できない男」論を横行させるな!(2)

男女の結婚観は、結婚相談所に来る女性会員の場合まだ旧来的な考え方がまかり通っているようだ。すなわち、男あっての女です、という考え方だ。悪いのは、責任があるのは男。女は何も悪くない、という前提である。それは発想の転換をしてほしい。

 

婚活中の二五歳の製靴会社のOLは、もう十回以上見合いを繰り返している。そのほとんどは彼女の方からバツを出した。その理由をきいてみたら簡単だった。

 

「だって、何となくつまんないんですもの。私を楽しませてくれる人でないと……。まだそんなにトシでもないし、もう少し待ってみます」

 

待ってみますだって……。

 

この世の中はやっぱりどこまでも男社会なんですかねえ。

 

現代でも交際の申し込みは、一般に男性の方からが「常識」になっている。後にここで取り上げる結婚相談所も、見合いの申し込みはどちらからでもいいが、見合いの飲食代はオトコ持ち。またお互いがイエスとなった場合でも、オトコの方から最初のデートを申し込むルールなのだ。

 

つまり、オンナはお姫さま気取りで、オトコが指名もデートの約束も演出も費用も全てやってくれるのを上げ膳据え膳で待てばいいのである。

 

もともとオトコ会員たちは、異性への接近が苦手だから入会したのである。このシステムじゃあ、いつまでたっても相手との交際を進められないわけだ。

 

また、相談所はオトコ会員の方の数が多いため、オンナには黙っててもオトコからの申し込みがワンサカくるようになっている。つまり不器用なオトコはいよいよドツボだが、婚活中のオンナは不器用なまま「待って」いるだけでも、それなりに声がかかるような仕組みになっているのだ。

 

この構造こそが、婚活中の彼女たちに「そのうちもっといい人が現れるだろう」などという無意味なシンドローム的遍歴をエスカレートさせる一因ともなっている。

 

つまり、オトコがフラれるのは彼らがだらしないという以前に、仕組みとして婚活中のオンナがオトコを選ぶスタイルがすでにできあがっているからである。これは相談所に限らず、まだまだ一般の男女社会にも当てはまるパターンではないだろうか。

 

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彼女たちの無意味なプライドをくすぐる

こうした仕組みの中で、婚活中のオンナ会員たちは自分たちが「モテる」と勘違いしてトホホ者になりさがっていく。

 

「選んでいるオンナ」を気取ることは、彼女たちの無意味なプライドをくすぐることになる。

 

それは、せっかくの出逢いをかけがえのないものに育むことを忘れさせ、「条件」に対する「おねだり」が無意味にエスカレートしたり、うすぼんやり「待ってみ」るだけだったり、「断られるぐらいなら先に断ろう」などという勝ち負けの論理での見合いを考えたりする落とし穴にはまりうる。

 

こうした奇妙な「強気」は、人間的に豊かな将来を展望する出逢をけしてもたらさない。相談所会員に限らず「選んでいるオンナ」を気取る女性がいるが、しょせんそうした人たちはこの勘違いで選択の目も愛の育み方も狂わせているのである。

 

そしてたまにいるまともな男性会員にそうしたトホホさ加減を見すかされてふられると、恋のチャンスがついえたことよりも、むしろプライドから「何でアタシがフラれるの!」と立腹する。さらにそれが二~三度続くと、自信をなくして相談所を離れていくのだそうだ。

 

こうなってくると婚活中の彼女たちは、単に相手を見つけられないというだけでなく、この「お姫様システム」によって人格までもがスポイルされてダメなヤツになってしまいかねない。

 

私が思うに、この落とし穴にまんまとはまっていくのは、やはりオンナたちの多くが自分を語ることのできないのっぺらぼう人間だからである。

 

自分にとってどんな人が必要なのか、どんな人が好きなのか、実はオンナたちは自分のことでありながら語ることができない。よってたつ自覚的価値観に乏しいから、誰が自分の前に現れても腹を決められずに「何となく」やめてしまうし、自分からモーションをかける「責任感」もないのである。

 

「選んでいるオンナ」の「結婚できない」実態は、そういううらさびしい一面をもっている。

 

ちなみに書くと、オトコ会員たちの課題も「のっぺらぼう」だからではある。

 

ただし、彼らは選んでもらえない現実から、嫌でも自分の実態を認識させられる。「選んでいるオンナ」をやっていると、そうした自分の「のっぺらぼう」ぶりを直視する機会ももつことができない。「選ぶ」ことで自分の深刻な状態から逃避できるからである。

 

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