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「子供が欲しい」から結婚する「借り腹」オンナの即物感覚

音楽大学を卒業後、OL生活を経て現在は母親とともに軽食屋を切り盛りしている婚活中の三十歳は、子供が欲しくなって結婚相談所に入ったという。

「本当のこと言えば結婚しなくてもいいから子供は欲しいという感じかな。まあ、それじゃあ子供が差別とかされるし私も肩身が狭いから、一応世間並みに父親が戸籍に載ってないとね。だからフツーに結婚でもしようかなと……」

「結婚というよりは子供が欲しい」論は、相談所会員に限らず婚活中の女性全般に聞かれる。でもねえ、勘違いしないで欲しいんだよね。子供はオンナだけの宝じゃない。子供をもつ幸せは男女共有のもののはずである。

たしかに子供を産む機能は女性にある。それは尊い尊いものである。しかし、出産欲だけでその機能を使うことは、単にセックスしたくなったから誰とでもセックスするのと同じ程度の野卑な表明でしかない。「どんなオトコとの子供」を生みたいのかという目的格が抜け落ちている婚活中のオンナの出産願望は、ブロイラーの卵なみの工業的趣きを感じる。

 いわずもがなだが、子供ができるためにはオトコのひとしずくが必要だ。そのひとしずくは誰のでもいいのか? もちろん誰でもいいわけではないだろう。そうでなかったらわざわざ相談所に駆け込む必要はない。では彼女たちはなぜ相談所に? ひっきょう彼女たちの眼目は、やはり再三出ている吟味された「三高」オトコのひとしずくなのである。

 出産欲で相談所に入ってくる婚活中のオンナの類型がそう定義づけて間違いない。「三高」という条件でひとしずくを求める了見は、もう種馬を探す感覚である。バイオテクノロジーで「牛の借り腹」というのがあるが、彼女たちはさしずめ世の「エリート」を製造するための国や企業が求めてやまない「借り腹」オンナに、自らなりさがっているわけである。

婚活中の彼女たちは、子供が欲しいという要求にどんな意図や自覚や展望があるにせよ、しょせん実際に望んでいる態度はそのそしりを免れない。そこにまず気づいて欲しい。

 普通は好きなオトコができて、そのオトコとの間に子を成したいと思うからこそ、その出産欲が人間的な輝きを伴うのではないか。十ヶ月の間、母体の体調維持や子育ての予習や命名や、その間の家事諸々や転居の計画など男女がともに知恵を出し合い協力する。そこにこそ夫婦のきずなや連帯や、「子はかすがい」という言葉の具現がある。

 もちろん、はじめに出産欲ありきというパターンも否定しているわけではない。
ただ、それは具体的な男性が出ていないというだけで、やはり「愛の結晶としての出産」という見定めは失うべきではない。理由は、母性も子供も両性のかけがえのない共有の財産だからだ。婚活中のオンナがいくら頑張ったって、オトコがひとしずくを仕込まなければ子供はできないのだ。「ちびまるこちゃん」の作者の著書名
ではないが、「そういうふうにできている」のだ。その偉大な自然の哲理法則にはなんびととも逆らえないのだ。

 それから、つまらない曲解やためにする「批判」が出る前に先以て書いておくと、この項はもちろん、非嫡出子差別を肯定する意味を全くもたない。子供の側ではなく、オンナが相手のオトコをどう見るか、という点で言及を進めているだけである。「三高」のひとしずくだけをウハウハ無原則に狙うというのでは、指摘した「借り腹オンナ」のそしりは免れないだろう。

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